梅染め
- 2017.01.30 Monday
- 17:45
梅の枝で染めました。
先っちょに朝露のような、まぁるい小さな蕾をつけている枝もあって、やはりどうしても胸がちくちくするのですが、真摯に色をうつしとることに徹します。
煮出した染料は紅茶のように赤みがかっていて、1回目の染めでは、赤ちゃんの肌ような薄いピンク色に。
しっとり感とか、ぬくもりとか、色とは関係のない形容が自然に出てくるような、穢れのない色に見えました。
このままそっとしておきたい、このままとどめたい、と思いましたが、重ね染めないことにはこの色も消えてしまいます。
でも、重ね染めればもはやこの色ではなくなってしまいます。
植物の、このひと時の色を覗き見ることができるのは、草木で染めをする人の特権かもしれません。
藍染めの、空気に触れる寸前の、一瞬の緑もそうでしょう。
草木染めに限らず、自然の恵みをいただいて手仕事をしている人は、それぞれの一瞬の隙間の贈り物を目にしているのかもしれません。
結局、梅染めは、鉄媒染で茶味がかったグレーに。
赤ちゃんが成長して、落ち着いた大人になった感じ。
求めれば求めるだけ色は遠くなってしまうけれど、どの色もしっくりくるのは、植物からやって来た色だからなんだと思います。